2019年2月号「マンションでの炊き出しにチャレンジ② メニューのポイント」

先月の衛生対策に続き、今月はメニューのポイントを紹介します。

非常食メニューのポイント

非常食メニューのポイントは、以下の5つです。

1)できるだけ大衆が好むメニューにする

2)自宅にある食材、調理器具を活用できる

3)簡単なつくり方で短時間に調理できる

4)食中毒に注意して火を通すメニューにする

5)栄養バランスを意識したメニューにする

美味しいと感じる食事はつらい時にこそ生きる希望になる

避難所では、おにぎり、菓子パン、お弁当などが配られます。一度に大量の被災者に配るための効率性や、製造から配送までの間に傷まないための安全性などから食事のメニューが限定されます。炭水化物中心のメニューのために栄養が偏るほかに、乳幼児、飲み込むのが困難な高齢者、慢性疾患患者、アレルギーや宗教などへの配慮を必要とする人には、配られても食べられない場合もあります。

心身ともに辛い災害時こそ、しかたないと我慢して食べる食事ではなく、美味しいと感じられる栄養バランスの良い食事をすることが重要なのです。マンションで炊き出しをする場合には、この視点を踏まえてメニューを考えておきましょう。食べられるものが限られる方は、事前に伝えておき、炊き出しのメニューを考える際の配慮をお願いしましょう。

屋台のメニューは災害時に適している?

メニューのヒントとしては、屋台のメニューが参考になるでしょう。屋台と言えば、インフラが整備されていない場所で衛生面に配慮して食事を作っている出店であり、大勢のお客さんが来ても対応できるメニューが多いです。屋台からヒントを得るのなら、

例1)野菜たっぷりやきそば/おやつにポップコーン

例2)野菜たっぷりお好み焼き/おやつにフランクフルト

例3)食事系クレープ(またはパンケーキ)/おやつにじゃがバター

例4)焼き餅/串焼き(野菜と肉を串刺しにして焼く)

どれも、大きな鉄板があれば一度に大量に、簡単に作れるメニューです。また、災害時に適しているメニューとしては鍋料理があります。定番はカレー、豚汁ですが、鍋料理はそもそも“寄せ鍋“の名のごとく肉、魚、野菜、乾物など、果物以外のたいていの食材が活かせます。ベースも和だし、トマト、豆乳、みそなど様々なタイプの鍋料理が楽しめますし、だし汁、トマト缶や豆乳を使用すれば調理用水を使わずに鍋が作れます。具材が多ければ多いほど栄養価も高く体も温められるので災害時に適した食事と言えます。

作り手の負担の少ないメニューを考えましょう

自宅にある食材を持ち寄ってどのようなメニューができるかを訓練で実施すると災害時にもその経験から心に余裕をもって炊き出しができるでしょう。災害時の状況は様々ですから、立派な食事をつくろうと気負うことなく、インスタントスープ、レトルト、缶詰、果物など簡単に食べられるものを多用して調理の負担を減らすのも悪いことではありません。食事に栄養バランスは大切ですが、それにとらわれ過ぎずに無理のない内容を考えましょう。

みんなで作った食事を分かち合い、語り合えれば、それだけでごちそうです。それで生まれる絆もあるでしょう。災害時の炊き出し(自炊)の食事にはそういう力があるのです。

国崎信江氏プロフィール

内閣府「中央防災会議首都直下型地震避難対策等専門調査会」専門委員、土木学会の「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員などの経験から、危機管理アドバイザーとして、現在は文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会」委員、消防庁「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」委員、気象庁「緊急地震速報評価・改善検討会」委員を兼任。全国で防災・防犯対策の講演を行う傍ら、各メディアにも多数出演し、防災・防犯情報に関する啓蒙活動に注力。『マンションみんなの地震防災BOOK』(株式会社つなぐネットコミュニケーションズ発行)をはじめ著書多数。

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