2020年9月号「巨大台風に備える」

近年の巨大台風におけるマンション被害

2019年(令和元年)は、台風15号、台風19号と立て続けに巨大台風が日本に上陸し、いまだその被害の爪痕が残っています。

特に台風19号では、神奈川県川崎市高津区のマンションの1階に住む居住者が亡くなりました。マンションは多摩川の支流である平瀬川沿いの土手に面しており、平瀬川が越水しマンションの1階が水没しました。居住者はペットを4匹飼養していたそうで、ペットを連れて上階の居住者の家にお世話になることをためらったのではないかとも言われています。

お住まいの地域の浸水ハザードマップで浸水予測区域を確認し、低層階が水没するような想定浸水深の場合は、マンション全体で低層階の方の避難について考えましょう。

さらに、先月も触れましたが川崎市中原区の武蔵小杉タワーマンションでは浸水により停電・断水といった被害が発生しました。武蔵小杉周辺では多摩川の水が地中の排水管をつたって逆流した可能性が高いとみられています。こういった現象を内水氾濫と言いますが、地域の排水能力についても、自治体や下水道局で事前に確認しておく必要があります。

2016年6月号のコラムでは「内水氾濫」について紹介していますのでご覧ください。
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「電気設備の浸水対策ガイドライン」ができました

武蔵小杉のタワーマンションでは、地下3階の電気系統設備が浸水して、停電・断水が起こりました。このことを受けて、国土交通省と経済産業省は、2020年6月に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」をまとめました。
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ガイドラインでは、具体的な浸水対策の取組として

浸水リスクの低い場所への電気設備の設置(電気設備を上階に設置)
対象建築物内への浸水を防止する対策として、建築物の外周等に「水防ライン」を設定したうえでライン上の浸水経路に
 ・止水板、防水扉、土嚢の設置
 ・換気口等の開口部の高い位置への設置等
 ・下水道からの逆流防止措置(例:バルブ設置)
 ・貯留槽からの浸水防止措置(例:マンホールの密閉措置)など
電気設備設置室等への浸水を防止する対策としては
 ・電気設備の設置場所の嵩上げ
 ・耐水性の高い電気設備の採用
 ・水防ライン内の雨水等を流入させる貯留槽の設置
などを勧めています。

台風が毎年発生するなかで、巨大台風がまた襲ってくるかもしれません。「マンションは運命共同体」であることを意識して、マンション居住者の皆様にはぜひこのガイドラインに目を通していただき、風水害への備えについて考えていただければと思います。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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