2017年11月号「防災準備金・積立金」

被災後は予想外の出費が重なります。防災用品ひとつとっても備蓄されているもの以外で必要なものがたくさん出てきます。たとえば、包帯・消毒液などの救急用品、テント、毛布、ポリタンク、電池、文具などの追加備品以外にも、物資を置くためのテント、コンクリート片、窓ガラスなどの破損物の掃除道具のほか、被害の調査費、設備の点検費、応急修繕費など、挙げたらきりのないほど出費が重なります。このような災害直後から必要になる物品の購入などの予想外の出費に備えておくことが大切です。

『防災準備金・積立金』の導入を検討しましょう

防災準備金・積立金は、マンション内の防災に関わる費用に充てるための積立金として毎月定額が各世帯から管理費と一緒に引き落とされます。具体的には、防災備蓄品の買い替え費用や防災訓練の実施費用の他に、先述したような被災後にかかる出費に対して充てることができます。いざというときに、その名目で積み立てがあれば迅速に対応することができます。

マンション管理業者によっては、総会が開催できず管理組合の意思決定ができないことを踏まえて、費用を自社で立て替えて応急修繕を発注し、費用の請求を後に管理組合に行ったそうですが、総会で修繕の実施や修繕積立金からの取り崩し等の費用の支出が決定されていないこと、あるいは対応する予算が年度予算に計上されていないこと等を理由に精算払いを拒否され、トラブルとなるケースも報告されたそうです。

災害等緊急時の修繕費用の拠出元を予め決めておきましょう

こういったトラブルを防ぐためにも、国土交通省では平成28年に、災害等緊急時に応急的な修繕の実施をマンションの理事会で決定した場合には、修繕積立金の取り崩し等を理事会で決議できるように標準管理規約を改正しました。このように、国としても修繕積立金を災害時の緊急的な修繕費用として充てることを推奨しています。

被災後にかかる出費について、どこからその費用を拠出するのかをあらかじめ決定し管理規約に明記しておくことでトラブルの回避につながります。南海トラフ巨大地震や首都直下型地震という未曾有の大規模災害が発生した場合、マンションの被害棟数も膨大なものとなり、公的な支援は十分ではないかもしれません。お金の問題は非常にデリケートで災害直後は冷静な判断ができないことも考えられますので、平時に話し合っておくことが重要です。

国崎信江氏プロフィール

内閣府「中央防災会議首都直下型地震避難対策等専門調査会」専門委員、土木学会の「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員などの経験から、危機管理アドバイザーとして、現在は文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会」委員、消防庁「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」委員、気象庁「緊急地震速報評価・改善検討会」委員を兼任。全国で防災・防犯対策の講演を行う傍ら、各メディアにも多数出演し、防災・防犯情報に関する啓蒙活動に注力。『マンションみんなの地震防災BOOK』(株式会社つなぐネットコミュニケーションズ発行)をはじめ著書多数。

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