2020年1月号「被災マンション法を知る」

マンションが被災したら、再建を支援する法律「被災マンション法」があります。

改正された「被災マンション法」により、全部滅失以外も対象に

「被災マンション法」は、阪神淡路大震災をきっかけに、地震などの大規模な災害でマンションが倒壊するなどの重大な被害を受けたときにマンション所有者の多数決によりマンションの取り壊し、再建、敷地売却の決議ができ、これにより迅速な復興を後押しすることを目的として平成7年に制定されました。そして、その後の大規模災害の被害の実態に適応できるよう平成25年に一部が改正されました。

改正のポイントとして、従来の法律はマンションが大規模な災害で全壊した場合(全部滅失)を対象としており、マンションの一部が被災した場合の規定はありませんでした。東日本大震災では、マンションが全部滅失には至らなくても重大な損壊で危険な状態になっていたマンションが多くありました。しかし、全部滅失ではないために、区分所有者の「5分の4以上の多数決で再建できる」と規定されている被災マンション法の特別措置は適用されず、マンションの取り壊しに区分所有者全員の同意が必要でした。全員の同意を得るというのは容易ではなく、多くのマンションで被害回復への対処に苦慮していました。

そこで、この事態に対処するため被災マンション法の一部を改正する法律が平成25年6月26日に公布・施行されました。改正法では、災害によって全部が滅失した「全部滅失」、又は重大な被害を受けた「大規模一部滅失」(その価格の2分の1超に相当する部分が滅失した)のマンションに対して、建物の全部滅失の場合における敷地売却決議と、大規模一部滅失の場合における建物取壊し決議、建物・敷地売却決議などが定められています。熊本地震で被災したマンションに改定後初めて適用されました。

被災マンションの再建は、多くの困難が伴い時間も掛かります

一方で、マンションが被災をしたときにいち早く再建したいという行動を後押しする法律ではありますが、被災マンション法の「全部滅失」と罹(り)災証明上の「全壊」が同義でない不可解さや、取り壊しの決議は区分所有者の「5分の4以上の多数決」でできても公費解体の申請は「全員の同意」を得る必要があるなど、一筋縄ではいかぬ煩わしさもあります。また、「区分所有者の所在を知らなければ連絡が取れず決議ができない」ことに変わりはありません。建物が全壊せずとも何らかの損壊があった場合の相談や対処を考えるにあたり、マンション所有者と迅速にそして確実に連絡が取れる体制を整えておくことは非常に重要です。

被災したマンションを再建するのは費用だけでなく、精神的な負担も大きく、時間も掛かります。これらを考えるとやはり耐震性のあるマンションを選ぶか、あらかじめ耐震補強しておくなどの事前対策が最も有効なのは、言うまでもありません。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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