2017年7月号「避難訓練」

突然の火災に備え、普段から消防設備を理解しましょう

2017年6月14日に、イギリスにある24階建て全127戸のタワーマンションで火災が発生しました。消火活動には消防車およそ40台、消防士およそ200名が出動しましたが、鎮火に24時間以上かかりました。この火災で、死者・行方不明者が79人に上ったと地元警察は発表しました(6月19日現在)。

今回これほどまでに被害が拡がった原因として、火災が発生したタワーマンションの外壁に可燃性の建材が使われていたことと、スプリンクラーが設置されていなかったことが指摘されています。日本のマンションは、一部特例を除いて11階以上の住戸にはスプリンクラーの設置が義務付けられている他に、11階以上あるマンションの場合は階数に関わらず全ての住戸で防炎品使用の義務化がされているなど、耐火構造や消防設備が整備されています。そのため、あれほどの延焼にはならないと言われていますが、いざ火災が発生した時に慌てないように、消防設備を理解し、使えるようにしておくことが重要です。

避難訓練を実施する上で大切なポイントは2つです

1つ目は避難経路の点検です。
居住者全員が災害時に避難することを想定して、廊下や非常階段の幅、踊り場の広さ、手すりの有無、非常灯の点灯時間などを点検しておきましょう。

各住居のバルコニーは専有部ではなく共用部です。地震でドア枠がゆがみ玄関のドアが開かなくなった場合は、バルコニーにある避難ハッチを使って下の階から避難したり、隔て板を破って隣の居室から避難することもあります。万が一の時に安全に避難できるよう、バルコニーには障害物を置かないようにしましょう。

2つ目は避難する上での問題の検証です。
例えば、非常階段を使って地上へと避難する際には、どのような問題が考えられるでしょうか。

一つは、避難する居住者が殺到して、混乱が生じる可能性があります。特に高層マンションでは多くの居住者が一斉に避難を始めた場合、大渋滞が起こり二次被害を招く恐れがあります。こういった混乱が起こり得る場合は、災害時の非常階段の使い方を決めたり、一定のフロアごと(3階ごとなど)に時間を区切って避難をするなどのルールを決めておく必要があります。

もう一つは、自力で避難することが難しい高齢者や障害者への対応です。誰かが背負ったり、担架等を使って搬送するといった方法が考えられますが、体力の問題や非常階段の広さを考慮しないといけません。訓練で最適な方法を探してみましょう。その他にも、マンションによって様々な問題があると思います。訓練を実施してみて危険が予測される場合には管理組合を交えて対応策を検討しましょう。

実際の避難に備え、事前にルート確認などを実施しましょう

実際に地震後に避難する際もそうですが、訓練でもマンションの災害対策本部で編成した避難誘導班が避難の先導をしましょう。

マンションで滞留生活が出来ない場合は地域の避難場所に避難せざるを得ないかもしれません。そういった場合に備えて、居住者でまとまって避難場所までの安全なルートを確認しながら歩いてみるということも避難訓練の一環として実施するのも良いかと思います。

国崎信江氏プロフィール

内閣府「中央防災会議首都直下型地震避難対策等専門調査会」専門委員、土木学会の「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員などの経験から、危機管理アドバイザーとして、現在は文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会」委員、消防庁「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」委員、気象庁「緊急地震速報評価・改善検討会」委員を兼任。全国で防災・防犯対策の講演を行う傍ら、各メディアにも多数出演し、防災・防犯情報に関する啓蒙活動に注力。『マンションみんなの地震防災BOOK』(株式会社つなぐネットコミュニケーションズ発行)をはじめ著書多数。

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