2019年1月号「マンションでの炊き出しにチャレンジ① 衛生対策」

都市部では避難所不足が指摘されています。最初から避難所に行くこと前提ではなく、マンション居住者同士で協力して、いかに被災時の困難を乗り切るかを考えましょう。

マンション居住者の食材を使っての炊き出しを想定してみましょう

居住者がマンション内にとどまり、自宅で生活を続ける「在宅避難」するなかで、食事の備えは欠かせません。私が勧める家庭内流通備蓄は、自宅にある食材をライフラインが途絶しても無駄なく使用するイメージをもっておくことがポイントです。しかしながら傷みやすい冷蔵庫の食材を家族だけでは食べきれない事態もあるかもしれません。そんなときは食材を無駄にしないように炊き出しの具材として提供されてはいかがでしょうか。マンションで居住者の家にある食材を使って炊き出しを行う訓練をすることで災害時の食材の確保問題も軽減されるはずです。

今月から3回続けてマンションで炊き出しを行う際の留意点をシリーズで紹介します。今月はまずは衛生対策です。ふだんの調理では、手を洗ったり食品を洗ったりして洗浄水を多く使います。水が使えず不衛生な環境になりがちな災害時では、食中毒防止のために炊き出しの食材・調理・配膳に至るまで衛生管理を徹底する必要があります。

居住者全員の徹底した衛生対策で、食中毒を未然に防ぎましょう

調理を始める前に全員に必ず、シャワーキャップ、ビニール手袋、マスク、エプロンを着用することを徹底します。家庭で料理している感覚でいると、ついうっかりと次のようなことをしがちです。
炊き出しではこれらはNGです。

マスクを着用せずお喋りしながらの調理

味見のときに、口にしたスプーンやお玉を直接調理鍋に入れる

生肉や生魚を調理した包丁やまな板をそのまま使う

ビニール手袋をした手で顔や髪を触ったりする

ビニール手袋を頻繁に取り換えずにいろいろな物を触る

断水時は抗菌剤、キッチンペーパー、ウェットタオルなどを適切に使用することを伝えましょう。
食材を集めるときは、

未開封

賞味期限内

保冷した状態でクーラーボックスや保冷バッグに入れてもってくる

調理用水についても、

居住者から提供を受けるときは、開封していないペットボトルのミネラルウォーター

給水車による汲み置きの水は当日給水のものを使用

災害で井戸が汚染されている可能性があります。井戸水を使用するときは 煮沸等殺菌をするだけでなく、直接飲むものは避けてレトルトを温めるためのお湯等に使用する。

食事は作ったら、

1時間以内に食べる

その場にいない家族の分を持ち帰らない

食べ残しは必ず捨てることなどをしっかりと周知して配膳

災害時ですから、最悪の場合を想定して食中毒に備えて、下痢止め、整腸剤のほか、痛み止め、胃薬、便秘薬なども個人的に用意し、搬送先の病院の情報を調べておくほか、炊き出しを食べるのは自己責任という意識を共有しておきましょう。

国崎信江氏プロフィール

内閣府「中央防災会議首都直下型地震避難対策等専門調査会」専門委員、土木学会の「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員などの経験から、危機管理アドバイザーとして、現在は文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会」委員、消防庁「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」委員、気象庁「緊急地震速報評価・改善検討会」委員を兼任。全国で防災・防犯対策の講演を行う傍ら、各メディアにも多数出演し、防災・防犯情報に関する啓蒙活動に注力。『マンションみんなの地震防災BOOK』(株式会社つなぐネットコミュニケーションズ発行)をはじめ著書多数。

GREEN PARK シリーズマンションのお問い合わせ