2018年5月号「ファーストミッションボックスのススメ」

マンションの管理組合や防災担当者の悩みの一つに、マンション居住者の防災意識の格差があります。マンションは倒壊しないので地震に強い、地震が起きたら避難所に行けば何とかなると思っている。防災訓練やセミナーに参加するのはいつも同じ顔ぶれで居住者の参加率を高めるにはどうしたらいいのかという悩みです。防災訓練は災害が起きた時の生命や身体の守り方からマンションの被害軽減のために居住者全員で対応すべきことを学ぶ機会でもあります。しかしながら、無関心の方もいれば、参加したい気持ちはあれども都合がつかない人もいいます。参加者が増えない現状に地震が起きたらどうなるのかと不安を抱いておられるのです。こういった悩みを解決する一つの方法が「ファーストミッションボックス」です。

  

ファーストミッションボックスとは?

ファーストミッションボックスは、弊社危機管理教育研究所と長野県飯田市危機管理室で開発しました。災害時において担当に関わらず、誰であってもその場にいる人が迅速かつ確実な初動期のオペレーションを実現するための方法です。

発災時は計画通り担当者が速やかに集まれないこともあります。そんなとき、所定の場所に置いたボックスを駆けつけた人が開け、そこにある指示カードに従って行動します。指示カードは、誰であっても実行できる簡単な作業であり、何をすれば良いか一目でやるべきことがわかるように記載されています。指示書(カード)は、専門的知識がなくとも理解し行動できるシンプルさが売りで、一つのカードに一つの指示が記載されています。

自治体をはじめ、マンションでも導入されています。

実際に長野県飯田市の危機管理室を始め、いくつかの自治体で運用されています。大規模な自然災害では、防災担当者だけでは対応できず、指示系統も混乱しがちです。長野県飯田市危機管理室では、そんな状況でも、集まった職員がすぐに災害対策本部を立ち上げることができるように、ファーストミッションボックスを活用した訓練も行っています。ボックスの中に必要な文具類も入っているので、万一の時にはすぐに開けて即座に行動がとれます。

このファーストミッションボックスを導入しているマンションもあります。管理組合の理事や防災担当者が不在時に災害が起きたとき、担当者がいなければ何をしていいかわからない居住者を、このファーストミッションボックスで災害対応の戦力に変えることができます。もし、皆様のマンションで同じ悩みを抱えているのであれば、ファーストミッションボックスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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