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国を挙げて展開する、電力の全面自由化。

これまでの経緯~1995年から始まった日本の「電力自由化」

日本の電気事業は長年に渡り、民間電力会社10社によって独占されてきました。 電力の自由化は、電気料金の抑制や新たな電力源確保などの要請から、1995年に発電部門で電力供給の競争を導入することから始まり、2000年以降は電気の小売事業への参入を段階的に自由化して、電力全需要の約6割にまで自由化の範囲を拡大させました。こうした改革は、電気料金が継続的に低下するなど一定の成果を挙げてきましたが、 2011年に発生した東日本大震災を契機にして、これまでの電力システムが抱えるさまざまな限界が明らかになってきました。

明らかになった電力システムの問題点とニーズの高まり

具体的には、原子力への依存度が低下するなかで再生可能エネルギーや分散型電源など、多様な電源の活用が不可避となっていることです。同時に、地域ごとに供給力を確保するのではなく、広域的な系統運用を拡大して発電所を全国レベルで活用することが必要になっています。
これまでの地域ごとに独占的事業者が供給する仕組みの見直し、全国レベルでの供給力の活用、電力の低廉で安定的な供給、その実現のために、さまざまな分野の事業者が参入できる電力の完全自由化が社会的な要請として高まり、他方では電力会社や料金メニューとともに、発電の種類を選びたいというニーズに多様な選択肢で応えることが求められています。
こうした状況を背景にして、電気料金を最大限に抑制しながら電力の安定供給を確保する、そして需要家の選択肢や事業者の参入機会を拡大するという電力システム改革に向け、国を挙げての展開が進んでいます。

国を挙げて電力システム改革の実施へ

2013年4月の閣議決定で政府から示された「電力システムに関する改革方針」では、電力の全面自由化の全体像が明らかにされました。電力システム改革は、3つの柱となる改革を段階的に実施する計画です。

第一弾の改革に位置づけられるのが「広域系統運用の拡大」です。現行制度では区域ごとの需給管理が原則としており、需給逼迫時の他地域からの電力融通など広域的な系統運用は事業者の自発性に委ねられていますが、広域的な系統運用を拡大して発電所を全国レベルで活用する仕組みとして広域的運用推進機関を創設し、電力会社の区域を超えて電源を有効活用し、需給を調整できる仕組みを整えます。広域的運用推進機関は2015年設立目途とされていますが、この広域での需給・系統の運用の整備の次に、改革の第二弾として「小売および発電の全面自由化」、第三弾として「法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保」が、それぞれ2016年~2020年までに段階的に実施される計画です。また、電気の小売業へ参入の全面自由化だけでなく、電気料金の全面自由化も2018年~2020年をめどに実施される計画となっています。

電力の小売り全面自由化に向けて

電力の小売り自由化についてはすでに部分的に行われていますが、小売事業者における新規参入者の現状でのシェアは、今年の5月現在で電力需要の約3.5%にとどまっており、活発な競争が行われているとは言いがたい現状です。
さまざまな課題の克服や環境・法的整備が必要ですが、この改革を経て電力の小売り全面自由化、電気料金の小売り全面自由化に向けた社会全体の動きがますます加速することが期待されます。そして、わたしたちの暮らしと電力の関係も、近い将来確実に変化していきます。その変化が、わたしたちにとってより有益で快適なものとなるように、各自が電力やエネルギーについての動向をしっかりと把握しておくことも必要ではないでしょうか。

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