2021年7月号「マンション防災訓練(豪雨)」

マンションの防災訓練で豪雨を対象にした訓練を実施していますか?

今回は豪雨に対応するための訓練の内容について提案します。これまで当コラムで繰り返しお伝えした「ハザードマップ」をはじめに確認しましょう。実践的な訓練にするためには「洪水ハザードマップ」を確認し、マンション周囲の浸水範囲・浸水レベルを考慮した内容にすることが重要です。特に浸水レベルはその浸水深によって行動や備えが変わってきますので、しっかりと確認してください。

訓練のテーマを設定し、具体的な訓練内容を考えましょう

今年も梅雨・台風シーズンに入りましたので、早い段階で以下のような訓練を実施することを検討しましょう。

① 低層階の居住者の生命を守る
訓練内容は、「低層階の方への避難の呼びかけ方法」「避難支援の方法」「避難の時間を確保するための浸水防止措置」「避難する場所の確保と誘導」などが挙げられます。

② マンション建物および設備への浸水を防ぐ
「土嚢の作り方」「土嚢設置場所の確認」「土嚢の積み上げ方」「止水板があれば設置方法を確認する」などがあります。さらに設置する場所が複数ある場合、どこから優先的に配置するか訓練で確認しておきましょう。

③ 浸水した場合の後片付け
水の掻き出しや泥の除去に必要な用具の確認とバケツリレーによる模擬訓練や感電防止のために電気系統に触らないなどの留意点について電気事業者からレクチャーを受けると安心です。

④ 被災生活への対応
これは訓練というよりは事前に低層階の方の生活支援をマンションとしてどう行っていくか、について話し合っておきましょう。共有スペースがあるならそこに一時的に避難して、炊き出しや物資の支援を行うか否かを決めておくほか、長期にわたって停電、断水した場合の全居住者向けの支援項目についても整理し、その中でもとりわけ要支援者の健康状態について把握し優先的に対応する方針を決めておきましょう。訓練内容についてはこれまで地震の訓練で実施されてきた内容に共通することが多いのですが、災害用トイレの設置、発電機の使い方、情報掲示および情報伝達訓練などは豪雨の訓練でも役に立ちます。

⑤ 重要書類の避難
こちらも過去のコラムでお伝えしたことですが、管理人室の重要書類が浸水被害に遭うことが想定される場合、どの書類をどこに一時避難させることをあらかじめ決めて、実際に運び出す訓練をしておきましょう。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。