近年、日本各地で様々な大災害が発生しており、誰もが被災者になる可能性があります。今の時期、コロナの影響でなかなか防災訓練を行うことが難しい状況ですが、災害はいつ起こるかわかりませんので、コロナ禍でもできる防災訓練を進めていくことが大切です。しかし、コロナ禍で消防計画上の訓練ができない場合はどうしたら良いいかというお悩みの防火管理者の方もいらっしゃるかもしれません。
そこでコロナ禍の今だからこそ試していただきたい新しい訓練方法、それがオンラインで行う防災訓練です。これなら、マンション居住者が気軽に閲覧できるので自宅にいながらマンション防災の理解を深めることができます。ただ、製作する時間がない、製作する技術に不安がある方は、東京消防庁の教材を利用されてはいかがでしょうか。
東京消防庁では、新しい日常に対応した「ネットで自衛消防訓練」を東京消防庁のホームページの電子学習室に公開しています。「ネットで自衛消防訓練」は、いつでも、どこでも、ひとりでも、をコンセプトに実施できる新たな自衛消防訓練の方法です。
防火管理者のほかに、事業所や消防用設備等に関心のある方などもご活用頂けます。また、外国語(英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字))も作成されています。
実は、事前に防火管理者が訓練通知書を所轄消防署に提出してこの学習を実施することで、消防計画上の訓練を実施したことになります。(なお、自衛消防訓練実施結果記録書は提出する必要はありませんが、3年間保管となっております。申請用紙は共に東京消防庁HPの申請様式⇒➁訓練通知書⇒6自衛消防にあります。)
自衛消防活動要領メニューから、本日使用する消防設備の説明を確認したら訓練スタートです。訓練チャプターは下記の2項目で構成されており、質問に答えていくテスト形式になっていて、繰り返し学ぶことができます。
- 《本部隊》
- 《地区隊》
●火災の発見 ●119番通報 ●避難誘導 ●消防隊への情報提供
●火災の発見 ●初期消火 ●避難誘導および区画の形成
他にも基礎知識として下記のような様々なコンテンツがあり、内容が充実しています。
- 防火対策「~住宅防火対策~」
- 震災対策「地震に備える~地震その時10のポイント~」「地震に備える~家具類の転倒・落下・移動防止~」「災害に強い地域づくり~自助と共助」
- 防災訓練「やってみよう!防災訓練~消火器の使い方~」「やってみよう!防災訓練~避難のしかた~」「やってみよう!防災訓練~119番通報のしかた~」「やってみよう!防災訓練~スタンドパイプの使い方~」
- その他「地域の絆~消防団の活動~」STOP!子どもの事故~事故から子どもを守ろう~」
- 救急関係「~普通救命講習~(短縮救命講習用)」「命を救う~外傷の応急手当~」「命を救う~応急手当必要性~口頭指導~」「命を救う~心肺蘇生法~(成人・小児・乳児」「命を救う~窒息~」
これまでの防災訓練ではなかなか人が集まらない、同じ顔触れという課題がありましたが、この訓練であれば居住者の都合に合わせて視聴できるという点では課題解決に資する方法ともいえます。ぜひ、多くの居住者に周知し、コロナ禍であってもマンションの防災力が落ちないよう訓練を継続して実施しましょう。
国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー
【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。
