2021年8月号「家庭の防災訓練(おうちDEキャンプ)」

災害時の在宅避難を可能にするには?

災害に強いマンションでは在宅避難が可能と言われています。しかし、ライフラインが止まることで生活が不便になり在宅が難しくなることがあります。実際に建物は無事だったけれど、停電でエアコンが使用できずあまりの暑さに耐えきれず熱中症を恐れて避難したという実話があります。このことからもライフラインが止まった生活を想像し、予め必要な物を備えておくと在宅避難が可能になります。しかし、被災した経験がないと「何に困るのか?」「どのような物が必要なのか?」を想像することは難しいです。

家庭で出来る防災訓練「おうちDEキャンプ」のススメ

そこで今回お勧めするのが、家庭で出来る防災訓練「おうちDEキャンプ」です。これは、一定時間(好きな時間を設定して)ライフラインを使用せずに生活してみるというシンプルな災害疑似体験訓練です。思い立ったらすぐに実行できるのが一番の魅力です。

体験例としては、

  • 断水を想定し、災害用トイレを便座に被せて利用する。
  • 調理は卓上カセットコンロを使用する。
  • 皿洗いを省くためにラップフィルムをお皿に巻いて料理を盛りつける。
  • 食後の口腔ケアは歯ブラシと液体歯磨きを使用する。
  • 昼間はソーラーパネルを外に出して蓄電池に繋ぎ、ノートパソコンや携帯電話を充電する。
  • 夜間はフローリングの上に寝袋やクッションマットを敷き、快適に寝る方法を探る。
  • スマホの灯りを照明に利用する。

などの様々な知恵と道具を駆使して過ごしてみましょう。

「おうちDEキャンプ」の効果は?

体験を通じてライフラインの代替品として必要な防災用品が明確になり、「とりあえず買ったけど使い道が無い」という無駄を減らせます。
例えば懐中電灯は必須と考えられていますが常に片手がふさがるため、両手が使えるヘッドライトの方が実際には便利であることに気付く、などです。また、災害を疑似体験することで得られるメリットは他にもあります。それは災害への心構えが出来ることです。災害が起きた時に困ることを事前に体験し、そのための準備が出来ていれば、災害時に慌てずに落ち着いて行動出来ます。不安や不便さを軽減し、災害に負けない強い気持ちを体験によって得ることが出来るでしょう。

なお、初めて「おうちDEキャンプ」を行う際は「体調の良い時」「天候の良い時」を選んで無理のない時間を設定して実施してください。お子さんのいらっしゃる家庭では夏休みの思い出として、一人暮らしの方はお友達を誘うなど、ぜひ楽しく体験してみてください。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。