防災用として購入した食料品が消費期限切れになって処分に困った経験はありませんか?
防災用だからと、ふだん食べない食料を多く買い込んであっても消費期限切れの時に困ってしまいます。アルファ米や乾パンなどの非常食ばかりを揃えると、品質期限が迫り平時にそれを食べると、辛く感じてしますこともあります。捨ててしまう備蓄方法にもったいなさを感じた体験や食べなれた味で、栄養バランスの良い食事をとりたいという思いはありませんか?
そこでおすすめしたいのが、ふだんの食材を多めにストックして、消費したら買い足す家庭内「流通備蓄」です。どこのご家庭でも、お米や乾麺、レトルト食料、缶詰をストックしていらっしゃるはずです。ふだん食べるこうした食料を、災害時の備蓄として活用します。防災用の非常食より保存期間は短くても、普段から購入しているものを常時多めにストックしていれば、いつでも買い足しができるので安心です。非常時であっても普段食べているものを口にできれば、安心が得られます。
レトルト食品の賞味期限は長くても1年程度ですが、日ごろの食卓で消費したら買い足すというシステムにすると賞味期限はさほど気にならず、しかも災害時にはバラエティに富んだ献立を作ることができます。レトルト商品はスパゲティのソース、牛丼、親子丼や中華丼などのどんぶり、スープなどさまざまな種類があり、温めるだけで食べられるほか災害時にも向いています。
ほかにも海苔や煮干しなどの乾物や果物の缶詰、野菜ジュースや果汁ジュース、梅干しやはちみつなどの長期保存の食材も役に立ちます。食事の面でも、買い物のついでに災害時の食事をイメージして準備することで食材選びの楽しさも増すことでしょう。ご家族で一緒に買い物に行って、家族それぞれが好きな缶詰やレトルトを買うようにしましょう。本人が食べたいものを備蓄する方がロスは少ないものです。
災害発生後しばらくは、食糧が手に入れにくい状況や、あっても価格が高騰することも考えられます。自助の観点からも最低2週間分は自宅で家族分の食料は確保できる事を目指し、毎日使って食べる「流通備蓄」を意識して、日頃の買い物計画を考えてみてください。流通備蓄する食料には、水と鍋とカセットコンロがあれば使えるものを選ぶのがポイントです。ストックの在庫チェックも怠らないようにしましょう。
国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー
【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。
