「搬送方法を見直してみましょう」

最悪の状況を想定した搬送方法を知っておきましょう。

2014年11月号では、大規模な災害が起きると大勢の傷病者が発生するため、応急手当用品の充実や応急手当ての方法を学ぶ講習会に参加することの重要性をお伝えしました。今回は関連して傷病者を搬送する際の留意点についてお話します。

地域で行う防災訓練や応急手当の講習では、一般的な搬送方法として担架を使用した搬送方法を学びます。このとき、担架の用意がない場合を想定して、毛布や干し竿を利用して簡易担架を作る方法も教えてもらえます。この搬送方法を学んでおくことは重要ですが、マンションの非常階段を使用して搬送する際に、担架の大きさで方向転換ができるか(回り込めるか)確認しておきましょう。せっかく用意したのに使えないという事態にならないようにするためです。さらに大量の負傷者に対して搬送する手が足りないという最悪の状況を想定した搬送方法も知っておくと安心です。

① 支持搬送

負傷者がなんとか歩ける、片足に軽傷を負った場合は、傷病者の松葉杖代わりに腕を肩に回して支えながら搬送します。

② 背負い搬送

自分で歩くことができない人を搬送する場合の一般的な搬送方法です。紐があれば体を固定しますが、ないときは傷病者の膝の下から腕を入れ、両手をしっかり持って搬送します。搬送者より体重低く体格が小さい場合に適しています。

③ 背部から後方に移動させる搬送

自分で歩けない、しかも搬送者より体が大きい傷病者に対して、少しでも安全な場所に移動させなくてはならない状況のときに有効な搬送方法です。傷病者の背部から脇の下に手を入れ、抱きかかえるようにして起こし、両手で傷病者の片方又は、両方の前腕をしっかり持って腰を釣り上げる様にして移動させます。

④ 毛布、シーツを利用する搬送

自分で歩けない、しかも搬送者より体が大きい傷病者に対して、ある程度の距離を搬送させる際に有効な搬送方法です。布やシーツで全身を包み、両肩を浮かすようにして頭の方向に引っ張って移動させます。

⑤ 二人で行う搬送

椅子に座らせてベルトで固定し、背もたれと座面を両側で支えて搬送する方法や、椅子がないときに傷病者の背中から抱える人と、足を交差させて抱える人とで搬送する方法があります。傷病者の方にとって安定して搬送者にとっても負担が少ないのが椅子を使用した搬送ですが、一刻の猶予もない場合には前後で抱える方法が迅速に搬送できます。

このように、その時の状況に対応できるように、防災のレベルアップを目指して多様な搬送方法を学んでおきましょう。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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