「帰宅困難者の受け入れを考える」

23区内の民間マンションでは、帰宅困難者への避難所提供協定が始まっています。

首都直下地震では、およそ517万人の帰宅困難者の発生が想定されています。

企業の従業員や学校の児童・生徒がむやみに移動を開始せず施設に留まれば、その数は約92万人に減るとされています。しかし、それでもなお首都圏の主要なターミナル駅を中心に92万人の帰宅困難者が右往左往すれば、大混乱になるのは必至です。職場や学校に属さない通過者、買い物客、観光客などの行き場のない帰宅困難者に対して、都では昨年4月時点で都の200施設、7万人分のスペースを確保しましたが、全く足りていません。そこで、都は大学や民間商業施設、民間マンション等に対し、備蓄の確保や帰宅困難者の受け入れ等に関する協定の締結に積極的に取り組んでいます。

都市部では避難所不足が指摘されている中で、マンション居住者には避難所に入ることなく室内で生活を継続することを推進していますが、今後はさらに帰宅困難者の受け入れについても検討する時期にきています。

品川区の民間マンションは、23区内で初めてマンションの一部を災害時に帰宅困難者の避難所として提供するという協定を、品川区と締結しました。今後はそのようなマンションが増えることが期待されます。

家族や自分も帰宅困難者になり得ます。受け入れについて事前に検討しておきましょう。

ご自身の住まわれているマンションが23区内にあるなら、区との協定の締結の有無に限らず予告なしに帰宅困難者がマンションに入ってきた場合の対処方法も考えておくことが大切です。部外者を入れることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、ご自身も買い物や遊び、仕事で自宅から離れた際に地震に見舞われたら帰宅困難者になるかもしれません。小さい子どもを抱えながら行くあてがなく、どの施設からも断られたらどのように感じるでしょうか。家族が通学や通勤途中で帰宅困難者になるかもしれません。

都心で働き暮らす以上は避けて通れない問題ですから、他人事と思わず、お互い様の気持ちで対処方法を前向きに考えたいものです。発災後ではなく、あらかじめマンションで帰宅困難者を受け入れるかどうか、受け入れの際にはどのスペースを提供してどのような対応をするか、セキュリティ体制や区との連携体制も含めて十分に検討しておきましょう。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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