「被災生活の中でも健康に過ごす」

2012年7月のコラムで災害時の自室生活についてお伝えしましたが、大規模な地震災害が起きても、耐震性のあるマンションであれば必ずしも避難する必要はなく、自宅で引き続き生活ができることが理想です。今回は、水道、ガス、電気の途絶などで長期間にわたる不自由な生活において、健康に過ごす方法についてお伝えします。

断水すると手洗い、風呂、洗髪、洗顔、歯磨き、食器の洗浄、洗濯が通常通りにできなくなるため、汚れや臭いによるストレスや皮膚炎、虫歯や歯周病、食中毒などの恐れがあります。2014年の5月、6月、7月のコラムでも女性や、高齢者、小さな子供が困ることについて断水時にまつわるトラブルとその対処法に触れましたが、抗菌剤、ウエットタオル、液体歯磨き、水のいらないシャンプーなど、水がなくても衛生を保てる品を備えることで、少しでも不快感やかぶれを軽減することができます。

ガスが遮断されても、カセットコンロと替えのガスカセットがあれば、2013年10月のコラムで紹介したように家庭内にある日常買い置きしている食材と、調理器具で普段と変わらない調理ができます。とかく災害時に配給される食事は炭水化物や食中毒を防ぐために油を使用したおかずが多くなります。栄養の偏りで体調を崩すことのないように、自宅にある食材を上手に利用して栄養バランスの良い食事を摂りましょう。日ごろから野菜はカットして下茹でしたものを冷凍しておく、お肉も使いやすい大きさにカットしておくことを習慣にしておくと断水時に包丁やまな板を必要とせず、食材も洗浄する必要がなく、すぐに調理できます。カセットコンロを使用して余った食材を使用して鍋にすれば部屋も温まります。(カセットコンロを使用するときは換気もしましょう。)

ところで、生活不活発病をご存知ですか? 災害後に生活が不活発になり、全身の機能が低下することをいいます。マンションではエレベーターが使えず地上に降りる機会が減る、外に出ても店舗が被害を受けて休業している、瓦礫で道路が閉塞状況になり散歩ができない、公園が避難所や県外からの援助隊の車両やテントを張る場所として使用され、ランニングなどの運動ができないなど、様々な事由により体を動かす機会が失われ、運動不足になる恐れがあります。動かないことで筋力や心肺機能が衰え、精神面にも影響するため軽視できない問題です。

東日本大震災の被災地では、元気だったにもかかわらず、震災後歩くのが難しくなった高齢者もいました。生活不活発病予防のためにも、1日に1回の体操だけでなく、家事などでこまめに動いたり、マンションの居住者と交流して階段を上り下りすることを意識しましょう。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

GREEN PARK シリーズマンションのお問い合わせ