2017年12月号「被害状況把握訓練」

大規模な災害が発生した時、直後の初動体制がその後の被害拡大防止に大きく影響します。いかに早く被害を確認し、必要な手立てを講じられるかが被害の拡大を防ぐことにつながることから、被害状況の把握は災害対応の最優先事項ともいえるでしょう。

災害時、隣接する住戸の居住者同士のみで活動を行っていても、マンション全体の統率がとれていなければ、混乱を招くことにもります。そのため、居住者同士で役割分担をしながら、効率よく行動するための対策本部を設置し、それぞれの役割を果たすことで、マンション全体の防災力を組織的に運用することを2017年5月号で紹介しました。今月はそのなかの「被害状況把握訓練」について考えてみましょう。

想定被害状況把握訓練を行いましょう

大地震の際には、停電などでマンションの設備が機能停止したり壊れたりし、二次災害を引き起こしたり、避難の障害となることなどが考えられます。そのため対策本部ではマンション全体の被害を把握するための情報の収集、情報発信、活動指示を行う必要がありますので、マンション敷地内においてどのような被害が想定されるかについて話し合い、実際の動きについて想定被害状況把握訓練を通じて確認してみましょう。

訓練を通じて収集した情報は、ホワイトボードに記録し、対策本部内で共有し、緊急対応が必要なものは色分けするなどで記載すると、一目で現況が分かります。このとき、模造紙程度の大きいマンションの見取図を作成しておくと、どこにどのような被害があるのか敷地や建物被害情報を一元化して見ることができます。

さらに一定時間ごとにデジカメで記録し、時系列に整理すると良いでしょう。

被害項目を一覧にしたチェックシートを作成しましょう

被害状況を専門的な知識がなくてもいち早く確認するために、事前に想定される被害項目を一覧にしたチェックシートを作成しておきましょう。大規模な災害が発生したとき直後の初動体制がその後の被害拡大防止に大きく影響します。いかに早く被害を確認し、必要な手立てを講じられるかが被害の拡大を防ぐことにつながることから、被害状況の把握は災害対応の最優先事項ともいえるでしょう。

参考として、被害状況把握訓練を実施する際の訓練項目について紹介します。

建物および敷地内の被害確認

→ 壁の亀裂、廊下の階段部分の破損、通行障害になる物の有無など、避難経路の被害状況確認。

危険個所の周知

→ 「立ち入り禁止」「通行禁止」「使用禁止」などのステッカー、ロープの表示

二次災害の確認

→ ガス漏れ、火災等

負傷者への応急救護

安否確認

火災発生の有無の確認

エレベータ内閉じ込めの有無の確認

エレベータの使用禁止の措置

トイレの使用中止の措置

避難口、非常階段の使用状況の確認

建物周辺の地域の被害状況確認

実施する際は、2名以上で行動し、余震などに備えた安全装備や連絡方法などを決めておきましょう。マンション生活を継続できるかどうかの判断にも、この被害情報は大いに役立ちますから、この訓練を通じて、必要な知識、巡回体制、備品、資料の準備などを確認し、十分な体制を整えておきたいものです。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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