2017年4月号「安否確認訓練」

マンションでは、管理組合・自治会・防災組織などを通じて毎年防災訓練を実施していると思います。しかし、マンネリ化して参加意欲が起きないという住民の声や、どのような訓練を展開すればよいのかわからないという声も耳にします。そこで、今年度は「マンションの防災訓練」をテーマを中心に、防災訓練の悩みを解決するアイディアをお伝えします。今月は、「安否確認訓練」です。

居住者の安否確認訓練を実施しましょう

マンションで実施する訓練のなかでも、とりわけ重要視されているのが「地震発生後の居住者の安否確認訓練」です。管理組合としては、マンションの居住者が無事かどうかは気になるところです。しかし、安否確認の方法が事前に決められていなかったり、マンションの居住者にその方法が周知されていなかったりすると、管理組合の負担は大きくなるばかりか、被害が大きくなるおそれもあります。その意味では安否確認の方法を決定し訓練等で周知しておくことはとても重要です。

安否確認のルールを工夫して、複数の地震に備えましょう

多くのマンションで行われている安否確認として、地震後に無事であった居住者が「無事です」と書かれたステッカーやマグネットを玄関ドアの外側に貼り付ける方法があります。居住者が率先して意思表示をすることで、一戸ずつ確認する手間を省き、安否のわからない人を絞り込むことができます。ステッカーやマグネットはマンション全体で統一した様式のものを作成し、各戸に事前配布するマンションもあれば、どこの家にもあるタオルをかけるというルールを決めているマンションもあります。

ところで、昨年発生した熊本のように大きな地震が2回起きることも考えておかなくてはなりません。1回目が無事でも2回目はトラブルに巻き込まれているかもしれません。「無事です」というステッカーがそのままだと誰も助けに来てくれなくなります。その場合、ステッカーに日付を記入する、タオルの時はその都度タオルを複数かけるなど、1回目と2回目の安否がわかるようにしておくと良いでしょう。

その他、建物の形状からバルコニーのほうが確認しやすいのであればバルコニーの手すりにもタオルを掛けると良いでしょうし、その結果を各戸の集合ポストにシールを貼るなどして全員で安否情報を共有できるようにすると良いでしょう。

訓練の結果を検証し、実践を意識した対策を行いましょう

安否確認情報はできるだけ各階で(高層マンションの場合は5階ごと)にまとめて、マンションで立ち上げた災害対策本部の担当者に伝えましょう。事前に防災担当者を決めていないマンションでは、管理組合の役員に伝えましょう。

毎年安否確認の訓練を実施しているマンションでは、実践を意識して訓練後の検証もしてみましょう。

安否情報の収集・とりまとめにどれくらい時間がかかるか?

→ どれくらい時間がかかるか予想しておいて、予想以上に時間がかかったらその原因を分析する。
 特に災害時要配慮者や子供だけで留守番している世帯の状況把握の実態を検証する。

時間経過とともに変化していく安否情報には対応できるか?

→ 一度安否確認が取れても、マンションの外に避難や疎開してしまった居住者の安否がわからなくなることも。
 事前にマンションから出る前の届け出や、連絡先を聞いておく体制も協議しておく。

4月は新しく入居される世帯もあるでしょう。新年度になって早い時期に安否確認の訓練を実施することで、居住者同士の交流を深める機会にしてください。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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