2020年8月号「豪雨・大雨に備える」

最近12年で命名された豪雨・大雨災害は10件以上

2020年(令和2年)の梅雨もそろそろ明けると思われた7月4日、早朝から局地的な豪雨が発生し、熊本県、鹿児島県、福岡県などの西日本から岐阜県、長野県の東日本にかけて河川の氾濫等で、人命や建物へに甚大な被害が出ました。

気象庁はこの一連の豪雨を「令和2年7月豪雨」と命名しました。その理由として気象庁は、「今回の大雨では、線状降水帯が複数の地域で局地的・集中的に長時間継続したことなどにより大河川を含む多くの河川で氾濫が発生し、また土砂災害も多発したなど広い範囲で顕著な被害をもたらした極めて特異な豪雨となった。」ことや、「雨の降り方が局地化、集中化、激甚化する中、今回のような大雨は全国どこでも発生しうることから、貴重な教訓を後世代に伝承するという目的の観点から名称を定めることとした。」としています。

大雨関係の被害から命名された災害は2008年(平成20年)からの12年間で、なんと10件もあります。関東では、2015年(平成27年)の鬼怒川が決壊して茨城県の常総市が大きな被害を受けた「関東・東北豪雨」や昨年の「令和元年房総半島台風」が記憶に新しいところです。

「数十年に一度の大雨」はいつでも起こり得る?

雷雨や竜巻をもたらす積乱雲は、本当に厄介な雲です。しかし、発生してから1時間で衰弱するので単体であれば局地的な被害となるのが特徴です。しかし、地球温暖化の影響からか、海面の温度が高くなり大量の水蒸気が集まって次々と新しい積乱雲を発生させ、それが線状降水帯となり広域に猛烈な雨を降らせます。

さらに怖いのは、2018年の「西日本豪雨」は、梅雨前線が台風の影響を受けて同じ場所に停滞したために豪雨災害に至ったわけですが、「令和2年7月豪雨」は台風の影響はありませんでした。つまり、「令和2年7月豪雨」の数十年に一度の大雨は、気象庁の言葉のようにどこでも起こりうることであり、もしかしたら、これからの梅雨は災害級の雨が降ってもおかしくないという危機感をもって迎えなくてはならないのかもしれません。

家庭や管理組合での風水害対策も非常に重要です

2020年の台風シーズンはこれからやってきます。梅雨が明けたと安心することなく、台風シーズンを前にマンションにおける風水害対策を家庭や管理組合でしっかり話し合っておきましょう。

具体的には、土嚢、水嚢袋の準備、止水版の設置など、浸水を防ぐ方法や、停電や断水に備えた対策、飛来物による窓の破損で、室内への散乱を軽減するための飛散防止フィルム貼り、コロナ禍における避難の在り方、特に下層階の居住者を中・上層階でどのように支援するか、建物や管理組合関係の重要書類の水損防止対策など、すべきことは多々あるでしょう。マンションの防災マニュアルではとかく地震がメインに記載されていることも多いかと思いますので、この機に風水害対策についても内容を充実させましょう。

国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー

【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。

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