先月は個人でつくるマイタイムラインの紹介をしましたが、マンションでも同様に気象災害におけるタイムラインを作成することをお勧めします。タイムラインの作り方のポイントとして
- ① 住んでいる地域のリスクを知る(ハザードマップマンションが土砂災害や洪水の危険エリアに入っているか確認します)
- ② 居住階別のリスクを検討する(ハザードマップの危険度から影響のある階を特定します)
- ③ 一時避難する場所をマンション内で決める(共用空間、上層階の廊下、個人で上層階の方と親しくなって受け入れてもらうなど)
- ④ 避難の基準を決める(災害状況や国や自治体からの災害情報別に、どの段階で避難行動を始めるかきめておきます
- ⑤ どの情報を入手するか決める(気象庁、民間の気象情報や川の水位情報など、どのソースをみて判断するか決めます)
- ⑥ 住民の避難支援以外にマンションで時系列にすべき行動も計画しておきます
ー 事例 ー
- ● 台風の接近・上陸/3日前
- 共用部分の排水目皿のゴミの清掃を実施
- バルコニーの排水目皿の清掃を居住者に呼びかけ
- ● 台風の接近・上陸/2日前
- マンションの防災用品の点検、補充
- ● 台風の接近・上陸/1日前
- ● 台風の接近・上陸/当日
➡ 屋上や共用廊下などの排水口周りの点検や清掃
➡ マンションの行事、会議などの延期、中止の検討
➡ 住民に停電、断水に備えることを呼びかける
➡ 浸水エリアの駐車場の車両移動、ごみ集積場などの制限の周知
➡ ベランダにある飛ばされそうなものを室内に入れることを呼びかけ
➡ 止水板、土嚢、水嚢の準備と設置場所の確認
➡ 簡易排水ポンプ、浸水後の掃除用品の準備
➡ 共用部の窓ガラスの補強(プラスチック段ボールの設置等)
➡ 避難すべき居住者の受け入れ体制づくり
➡ 避難すべき居住者にいつでも避難できるように準備を促す
➡ 災害情報をまめにチェック
➡ 災害警戒本部の設置(居住者の相談窓口設置)
台風のように予測できる災害では、マンションのタイムラインを決めておくことで効果的かつ効率的に被害を軽減する行動がとれます。上記の内容を参考に作成してみてください。
国崎 信江氏プロフィール/危機管理教育研究所 代表 危機管理アドバイザー
【主な経歴】横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「国崎信江の暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。
