国崎信江氏プロフィール

内閣府「中央防災会議首都直下型地震避難対策等専門調査会」専門委員、土木学会の「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員などの経験から、危機管理アドバイザーとして、現在は文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会」委員、消防庁「地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する検討会」委員、気象庁「緊急地震速報評価・改善検討会」委員を兼任。全国で防災・防犯対策の講演を行う傍ら、各メディアにも多数出演し、防災・防犯情報に関する啓蒙活動に注力。『マンションみんなの地震防災BOOK』(株式会社つなぐネットコミュニケーションズ発行)をはじめ著書多数。

防災研究へ取り組んだきっかけ

司会:
阪神淡路大震災が防災研究のきっかけになったとのことですが、活動開始から研究所立ち上げまでのことについて伺えますか?
国崎:
はい、いまお話がありましたように、阪神淡路大震災が私の防災研究のきっかけとなりました。実はそれまで、私はあまり防災に関心をもたずに生きていましたが、戦後初の都市型災害とも言われるあの被害を受けまして、「私が住んでいる横浜でも、同じような甚大な被害を受けるのではないか」という不安から、防災に関心を持ち始めました。
防災の研究をする中で気づいたのが、「生活者の視点が防災に生かされていない」ということでした。その背景には防災に関わる機関の方、地震の研究者や防災の専門家の方々がほとんど男性であった、ということがあるのだと思います。そこで私は「何か大切な視点が抜け落ちているのではないか?」ということを感じまして、私自身が、女性ならではの目線で、実践として対策してきたことを伝えようと活動しております。
実は防災対策というのは、進化しているようであまり進化していない、時代遅れのものも沢山あります。例えば日本では、「防災」と言うとまず消防、つまり「火災」に対しての備えに重きを置いてきたように思います。たとえば屋内施設の消防設備の充実に対し「揺れ」に対する対策は不十分であり、揺れでスプリンクラーが誤作動した事例も過去の震災で多く報告されています。防災用品の規格も明確にされておらず、揺れの規模に対してどれほど役に立つのかそれぞれ企業独自の基準で「安全」を評価している現状があります。
司会:
今まで、国崎先生のように女性的な、地震の揺れに重きを置いた防災対策が欠けていたということでしょうか。
国崎:
そうかもしれません。ありがたいことに、私がやりたいと思っていたことと、社会のニーズがマッチしたようでして、活動を始めてからはさまざまなメディアの方、団体の方、個人の方から、「こういう視点が今まで足りなかった」というご意見を頂きました。
司会:
国崎先生が政府関係の防災のお仕事をするようになったきっかけ、経緯等を教えてください。
そこには、どういう思いで参加されたのですか?
国崎:
政府の委員会、検討会、審議会の委員というのは、立候補してなれるものではありません。まず各省庁の方々や有識者の方々などが、立場や専門分野に偏りがないようバランスを考えながら、委員を決めていくのだと思います。
私は知人から推薦されて内閣府所管の防災教育チャレンジプランの実行委員や土木学会の土木学会「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員を経てその後、中央防災会議首都直下地震避難対策等専門調査会」専門委員からお誘いがありまして、委員になりました。
ひとつの委員会に入りますと、他省庁の職員も参画されていて、そこから他省庁の委員会にお声がかかるというように広がってきたように思います。委員の任期はそれぞれ大抵2年ですが本当にありがたいことに、途切れることなく様々な委員会に所属させていただき、多くの刺激を受けながら学ばせていただいております。
司会:
元々は主婦だったところから、国の委員会に参加するという経緯はたいへん珍しいことですよね。
国崎:
はい、私のバックグラウンドから考えますと、非常に稀なことであると思っております。恐らく国としても、国民が何を求めているのか、どういう感覚であるのかを把握したいという思いがあったのでしょう。私の役割は、生活者の視点で国の施策を捉え、議論されていることがどう社会還元されていくのか、防災であればどう被害軽減につながっていくのかを議題に載せて検討していくことだと考えています。
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