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 三木清の『人生論ノート』は発表以来80年以上続く名著で、雑誌やメディアなどいろいろなところで取り上げられてきました。学生の頃に文庫本の薄さとタイトルに惹かれて読んだ覚えがあります。そのときは内容が難解で、理解もしなかったと思います。先日、近くの書店で見つけ、あらためて読んでみようかと思いました。その中の幸福についてという章には次のようなことが書かれていました。「他人の幸福について考えねばならぬというのは正しい。しかし我々は我々の愛する者に対して、自分が幸福であることよりなお以上の善いことを為しえるであろうか。」「機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現われる。」「鳥の歌うが如くおのずから外に現われて他の人を幸福にするものが真の幸福である。」

 今年1月の日経の日曜版にプロダクトデザイナーの深澤直人さんが紹介されていました。深澤さんは、「人の幸せに繋がっているかをいつも考えている。」「自分の個性を表現しようとすることはやめ、まだ形になっていない普通をすくい上げる。」と書いていました。

 この記事を読んで、漆器作家の赤木明登さんの『美しいこと』という本を思い出しました。赤木さんは、「つくることは無限という混沌の中から一つの形を選択することだ。」「美しいものを選び抜く、より日常生活に近い揺らぎのあるものから。」と書いていました。また、この本に登場する小さな洋服屋さんでデザイナーの坂田敏子さんは、「美しいものって、その人に馴染んでいるあたりまえのもの。もう捨てられないで持っているもの。」と話していました。

 深澤さんはじめ三人の話から、幸せも美しいものも同じように聞こえてきます。幸せも美しいものも遠いところにあるのではなく、また、人が意思をもってつくるものでもないようです。自然と引き出されるものなのでしょう。まだ形になっていない普通、より日常生活に近い揺らぎのあるもの、その人に馴染んでいるあたりまえのもの、三人の言葉はどれも印象的です。私たちは思いがけないときに、幸せや美しさを日常生活の中で感じ取ることがあります。しかし、私たちだけでは感じ取ることのできない幸せや美しさが、日常生活の中にはまだまだたくさん埋もれているのではないでしょうか。そのような埋もれた幸せや美しさを引き出してくれるのが、感性の磨かれたプロフェッショナルたちの仕事です。

 最初の人生論ノートには、自分が幸福であることよりなお以上の善いことを為しえるであろうか、とありました。つまり、自分の日常から自ずと引き出される幸せや美しさが、何気ない一つ一つの所作に現われて、人を幸福にするということであれば、深澤さんはじめ三人の話に自然と繋がっていきます。

 あらためて皆様のGREEN PARKやGREEN COURTでの日々の暮らしを思い起こすとき、私たちも三人のように感性の磨かれたプロフェッショナルでありたいたいと思います。今年は新型コロナウイルスの世界的な広がりで、私たちの暮らしにも非常に大きな影響が出ています。新型コロナウイルスの一日も早い収束と、皆様はじめご家族のご健康を心よりお祈りいたします。